一日目 ページ1
私、今月末でこの仕事辞めようと思ってます。
それを聞いたのが一昨日。
辞表出してきました。引き継ぎでご迷惑おかけすると思います、申し訳ないです。
これを聞いたのが今。
彼女以外の時が止まったように、誰も動けずにいる。いつもコーヒー片手にカタカタとキーボードを打っている成績３位の彼も、最近異動が決まった幹部候補生の彼も、新人に厳しく悪い噂が絶えない彼女も。そして俺も。
「…………え、っと……なんで、辞めようと……？」
そう言ったのは俺の隣でいつも飴を舐めてる2年目の後輩。面倒なことに首を突っ込まない彼も、流石に疑問に思ったようだ。
「なんでと言われましても……心境の変化といいますか……」
しんきょうのへんか。もしや失恋……？いやそんなまさか。彼女に失恋した奴なら幾度と見てきた……そんな彼女が失恋なんてあり得ないだろ……？いや決めつけは……ああでも……。
「ト、トントン様は受理したんですか……？」
「え？まあそりゃ……何も言われ無かったですけど」
辞表出して何も言われないなんてあるか。Aさんは事務員の中でも一等優秀……彼女が抜けることで出来る穴にトントン様が気づかない訳がない。だから何も言われないって事は……それフリーズしてんじゃねえかな。
「ただいま帰りましたー！……え、何ですかこの空気」
「お帰りなさい、環さん」
「お帰り……Aさんがね、その、今月末で辞職する、らしくて」
「………………えーーー！！！？Aさん辞めちゃうんですか！？えっそんな雰囲気無かったじゃないですかぁ！」
相変わらず元気でうるさい。だがそれもそうだろう、彼女はAさんによく世話になっていたし、食堂で向かい合って座っているのもよく見かけた。それほど懐いていた先輩がいきなり辞めるなんて、信じられる訳がない。
「えーー嫌ですーーー！辞めないでよぉーーーー！！」
「ありがとう。でももう決めた事ですから」
「これから私誰とご飯食べれはいいんですか！」
「これを機に新しい友人でも作りなさいな」
環の猛攻を受け流すAさん。そんなところも美しい。すると、突然棟内放送を知らせるメロディーが流れてきた。
《あー、事務員番号L-1175は書記長室に来るように。繰り返す＿＿＿》
「私です、行ってきますね」
そう言って、彼女は出て行った。
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生茶(プロフ) - ゆるゆるなさん» ゆるゆるな様、作品をご覧いただきありがとうございます！不定期更新にはなりますが、読んでいただけたら幸いです。 (3月29日 0時) (
レス) id: cf05a2e5ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆるゆるな - とても好きです！！これからの更新頑張ってください！ (3月28日 21時) (レス) id: cce9726ea8 (このIDを非表示/違反報告)
生茶(プロフ) - ゲリラさん» ゲリラ様、ご覧いただきありがとうございます！コメント、非常に励みになります。これからもどうかよろしくお願いします！ (3月28日 11時) (レス) id: cf05a2e5ca (このIDを非表示/違反報告)
ゲリラ - こんにちは‼️更新内容めちゃくちゃ良いです(^ - ^)これからも頑張ってください‼️ (3月28日 11時) (レス) @page4 id: 3562e297db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生茶 | 作成日時：2024年3月26日 22時
