【d!】ヤンデレを享受しろ。 (ページ12)

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▷ 健やかなるときも、病めるときも。ページ12

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トントンが買ってきてくれたシュークリームを食べ終え、Aは彼に歯も磨いてもらったので寝る準備は万端だ。

2人は当然のように一つのベットに潜った。しかしAがいくら小柄だとはいえ、ガタイのいいトントンと一緒となると、セミダブルのベットでは少しばかり狭い。

tn「昔みたいに絵本でも読んだろか？」

ポチポチとアラームをかけているAの隣でトントンは横になり、頬杖をつきながら笑いかける。

「もうそんな子供じゃありませーんっだ」

tn「じゃあもう腕枕もなしか」

「そこまでは言ってないじゃん……」

べっとメスガキのように舌を出したかと思えば、しゅんと子犬のようにしょぼくれるAは本当に見ていて飽きない。

tn「嘘やって。ちょっと意地悪しすぎたわ。
　ほら、電気消すぞ」

「ぎゅーもしてね」

tn「はいはい」

トントンはピッピ、とリモコンを操作し部屋の電気を消した。そして自分の腕に寄りかかるAを壊れ物を触るようにそっと抱きしめる。
トントンの暖かい体温と安心する匂いに優しく包み込まれ、Aはうとりうとり、と夢の中へと沈んでいく。

「……とんちゃん、すき」

完全に夢の世界に堕ちてしまったAは、トントンの胸の中で寝言をこぼす。
膝枕だってキスまがいのことだってしたのに、眠っている彼女にさえも、大好きと言えない自分が憎らしかった。

それと同時にそんな自分に安堵する。もしも彼女に大好きと、愛していると伝えてしまえばこの関係が終わる。この関係は幼馴染だからこそ成り立っているのだ。

たとえ幼馴染であってもおかしいって？まさかトントンがこの異常性に気づいていないわけがない。
彼自身も感覚を鈍らせて、見て見ぬふりをして愛しのAと接しているのだ。

だけど今はただ、Aにはこの異常さが気づかれないように、この生活が終わることのないように。トントンにはそうすることしかできないのだ。