【d!】不良を買い取りました！

35話 ページ35

夜

オスマンの家

「…なにこれ」

珍しく自宅にお呼ばれ。
何も変わってない服装に申し訳なさを
感じるが、ご主人は鼻歌を歌いながら
…紅茶の缶を並べ出す

何したいの？

os「授業で、君は興味無さそうやったからさ」
os「教えてあげよう思って」

os「俺のワンマン授業受けてな？」

「…金を貰うのか払うべきなのかよくわからない」

曖昧なものは嫌いだ、と言えば
うーんと顎に手を着いて一言

os「俺がしたいことしてるだけやし」
os「貰ってよ」

「…意味わかんない」


os「これが、俺のおすすめの茶葉」
os「アールグレイなんやけど、ちょっと高めの所のやつやねん」

os「今入れるからね〜」

「…」

何がしたいんだろ、この人
態々高級な茶葉を、俺になんて

自分で飲めばいいじゃん

…


数分後
差し出された、色の着いたお茶
変な匂いがするが、嫌いでは無い
オスマンさんによれば、この茶葉は
リラックス効果がありストレス発散の
ひとつにもなるらしい

お茶ごときで大袈裟だな

os「はい、シフォンケーキ」
os「ん〜、やっぱお茶会は人としたほうがいいめぅね」

「…」

オスマンさんは、俺の不満を
無視しながら食べ進めた。柔らかい
スポンジを何度も咀嚼しながら
隅々まで味わう姿に、ヨダレが垂れる

…でも、俺、何も払ってない
それにこんな贅沢をちるはしてない
…

os「…」

Aは、自分が幸せになることを
常に拒む。それが猛毒のように
触ろうともしない。

怖気付いて拳をかたく握りしめている
Aの口元に無理やり食べかけを
詰め込んだ


咳き込みながらも咀嚼するA
何するんだ、と怒ってて可愛い

os「なんでそう我慢するのか知らへんけど」
os「幸せを少し味わったくらいで」
os「大きな不幸なんて訪れへんよ」

「……違う…そんなんじゃない」

os「…」

誤魔化したいのに言葉が見つからない、
Aはソファの上で体操座り
長い前髪で顔を隠しながら

なにも言わなくなった

os「…悩みあるなら、聞く」
os「話してくれるだけでもええし」

os「大人として、力添え出来ると思う」

「…言っても、病気は治らないだろ」

os「…」

「…大人は、みんな口ばっかり」
「口ばっか、…ほんま……」

os「…」

疲労の限界だったらしい、
うずくまって泣き出してもうた

os「…」

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